「吐く」だけで整う心と体:あへあほ体操で自律神経を味方にする方法

吐き出す力で、自律神経が整う——あへあほ体操と僕の18年

こんにちは、あへあほ体操の創始者、しものまさひろです。

僕がこの「あへあほ体操」を考案してから、もうまる18年が経ちました。おかげさまで全国各地で教室が開かれ、病院や介護施設、企業研修やスポーツの現場でも活用されるようになりました。でも、今日お話したいのは、その中心にある「呼吸」——なかでも、“吐き出す力”についてです。

目次

あへあほ体操は「吐く」ことを大切にした体操です

あへあほ体操の基本は、とてもシンプルです。

「あーへーあーほー」と声を出しながら、「へ」と「ほ」でお腹をへこませる腹筋運動

この「へ」と「ほ」の部分で、お腹を凹ませるのが基本中の基本

ドローイングとよばれる息を吐きだすエクササイズにユニークな発声を加えたのが始まり。

お腹のインナーマッスルと呼ばれる腹横筋(ふくおうきん)に刺激がいきます。

また、発声を使うことにより、横隔膜(おうかくまく)もしっかり働くことにより、息を吐き出す力がアップします。

このお腹の奥から「吐き出す」呼吸が、心と体の健康にとても大きな力を発揮してくれるんです。

ハ行の発声に隠された秘密

実はこの体操、最初は「ドローイン」と呼ばれるお腹をへこませる体幹トレーニングがベースでした。でも、参加者の一人から「家でやろうとすると忘れてしまう…」という声があって。さらにその生徒さんが「運動ってインパクトが必要なんじゃない?」ってアドバイスをくれました。

じゃあ、もっと覚えやすく、インパクトあって、忘れなくて、楽しくて効果的にできる方法はないかと、試行錯誤した結果、ハ行の発声にたどり着きました。

ハ行の発声「は・ひ・ふ・へ・ほ」って、声に出すと息が一番多く出ていくんですよね。

試しに、手のひらを口の前に当てて「さ・し・す・せ・そ」と「は・ひ・ふ・へ・ほ」を比べてみてください。ハ行の方が、明らかに息がたくさん吐き出されているのを感じられると思います。

これが「あへあほ」の秘密。しかも、なんだかちょっと笑えてくる平和な言葉(笑)。

そう、平和な世界観の腹式呼吸。これこそが、あへあほ体操の真骨頂なんです。

「吐く」ことで整う、自律神経のリズム

人間の体には「自律神経」という、無意識のうちに体を調整してくれる神経があります。交感神経(活動モード)と副交感神経(リラックスモード)がバランスを取りながら、呼吸、血圧、心拍、消化などをコントロールしてくれています。

上記の絵を見てください↑

活動モードの交感神経は、車の運転でいうとアクセルの役割。興奮状態、緊張状態、怒っているとき、などなどすべて交感神経。

リラックスモードの副交感神経は、車でいうとブレーキの役割。お風呂入ったり、寝てるときなど、力が抜けているときなど。

どっちが良い悪いではなく、自分でアクセルとブレーキを操縦できているか?が大切。

アクセル全開!交感神経優位の現代人

いつもイライラしていたり、夜寝れなかったりする人は、アクセル踏みっぱなし。

スマホ、仕事、人間関係、そして運動不足。交感神経ばかりが優位になって、緊張状態が続いてしまうんです。

ブレーキ(副交感神経)が弱い状態。現代人は、すごく多いかもしれません。

実は、息を吐きだすのは、ブレーキ。つまり副交感神経を引き出す。

吐き出す力で、副交感神経優位を引き出して

ぁ~~」って、ため息をつくのは、アクセルいっぱい踏んで疲れてしまった体の良いブレーキ反応なんです。

ぁ~~」とか、「う~~」とか、ありますよね。

笑いも、「あっはは」って、息を吐きだしています。これも副交感神経。

偶然か、必然か、全部、ハ行。

ハ行ってすごくないですか?

要するに、「あへあほ」は、吐き出す力を引き出す魔法の言葉なんです。

息を吐く事は、副交感神経を優位にする力があります。体がリラックスし、心が落ち着いてきます。イライラや不安が少しずつ溶けていく感覚、経験したことがある方も多いのではないでしょうか?

腹式呼吸は“思い出す”もの

呼吸って、実は「学ぶ」ものではなく「思い出す」ものだと思うんです。

赤ちゃんの寝顔を見たことがありますか? お腹がふわ〜っと膨らんで、しずかに上下していますよね。あれこそが、人間が本来持っている腹式呼吸です。でも、大人になるとストレスや姿勢の崩れで、呼吸が下手くそになってしまいます。

だから僕は、あへあほ体操を通じて「赤ちゃんの呼吸を思い出す」手助けがしたいと思っています。

ちなみに赤ちゃんには腹筋、割れてませんよね(笑)。

でもあの「オギャー」という声、すごい迫力。あれは、横隔膜やお腹の深層筋(腹横筋)がうまく使えているからなんです。

医療や福祉の現場でも広がっています

あへあほ体操は、今では介護・医療・福祉の分野でも導入されています。

内科病院や精神科病院のデイケアや高齢者デイサービス、認知症予防プログラムとしても医療現場で実践されています。

声を出して笑いながら、楽しく呼吸して、お腹も使う。難しい運動ができなくても、寝たままでも、笑顔でできる。そんな場を通じて「人と人がつながる感覚」や、「お腹の底から元気になる感覚」が生まれるんです。

ある高齢の女性は、教室に通い始めてから「あへあほ体操の日は、ワクワクする」と笑顔で話してくださいました。嬉しかったですね。体だけでなく、心の健康にも、きっと届いている——そう感じた瞬間でした。

最後に:今日から1日3回、「あへあほ」

今、この記事を読んでくださっているあなた。

ぜひ、今日から1日3分でもいいので、「あーへーあーほー」と声を出してみてください。声が出せない場所では、小声やサイレントでもOKです。

きっとお腹の奥から、じんわり温かくなる感覚を味わえると思います。

そして、その「吐き出す力」が、きっとあなたの心と体を、少しずつ、でも確実に整えてくれるはずです。

あなたの今日が、笑顔と幸せな呼吸で始まりますように。

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この記事を書いた人

しもの まさひろ しもの まさひろ あへあほ体操創始者/延べ5万人以上を指導した体幹トレーナー

18年間にわたり「あへあほ体操」教室を継続し、延べ56,000人以上に直接指導。全国で45名の認定インストラクターを育成し、ZoomやYouTubeなどのオンライン指導、テレビ・ラジオでのレギュラー出演(各2年間)、累計1万部超の書籍出版など、多方面で活躍。
2024年には日本予防理学療法学会にて「あへあほ体操」の効果を発表し、医療・福祉分野への科学的展開を推進。
2025年3月には高齢者デイサービス・障がい者グループホーム・訪問治療院を運営する会社の取締役に就任。現在は国際論文の投稿と、2026年アメリカでの学会発表を予定し、あへあほ体操の世界標準化を視野に活動を広げている

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