お腹を凹ませるだけで体が変わる!?ドローインの本質と、あへあほ体操誕生の物語【創始者の腰痛体験から生まれた】

目次

はじめに|この体操は、僕自身の“再起”から生まれました

こんにちは。
あへあほ体操 創始者の しものまさひろです。

今でこそ、医療・介護・スポーツ現場でも注目されている「ドローイン(お腹を凹ませる運動)」と、そこから生まれたあへあほ体操。

でもこの体操は、机上の理論や流行ではなく、僕自身の「体と心の再生の物語」から生まれました。

自衛隊時代、駅伝強化選手だった僕を襲った“突然の腰痛”

20代前半の頃、僕は自衛隊で駅伝の強化選手をしていました。
日々トレーニングに打ち込み、夢や希望に燃えていた毎日。体力にも自信がありました。

走っている自分が大好きでした。カラダ一つで、戦っている日々も大好きでした。これが自分のすべて!と思えるぐらい熱中していました。

当時は、走ること、カラダを使うこと、これがすべてでした。

そんなある日、突然、腰に激痛が走りました。それが、まったく治らない。

自衛隊の強化チームは、実業団ではないもの、それぞれの部隊の最速隊員で選抜された強化選手なので、結果を残さないと、元の部隊に戻されてしまうというプレッシャーもあり、当時は必死でした。

評判の良い病院、有名な治療家、「ここ良い!」といわれれば、藁をもすがる思いで、あらゆる病院や治療院など通いました。先生によっても見解も様々。
「椎間板ヘルニア」「仙腸関節炎」「強めの慢性腰痛」――
何が正しいのか分からないまま、まったく動けなくなり、2度の入院を経験しました。

そしてついには、部隊長が病室にやってきて、僕にこう告げたのです。

「強化選手は、クビだ」

「部隊に戻ってこい。走るのは終わりだ。」

ワクワクできない自分。夢を失った自分。

走れない。跳べない。無理できない。
動けない日々は、まるで“自分じゃない誰か”として生きているようでした。

気づけば、朝起きてもワクワクしない自分がいました。
「また今日が始まるのか…」と、ただ時間が流れるのを見ているだけの日々。

そんなとき、ふと高校生の頃の自分を思い出したんです。
朝、ワクワクして目が覚めていた自分。
夢中で走り、笑い、汗をかいていた自分。

あの頃の自分にできて、今の自分にできないはずがない。
もう一度、自分の身体と人生に、真正面から向き合いたい。

「スポーツトレーナーになる!」病室で燃え上がった小さな炎

「このまま終わりたくない」
そう決めたとき、心の中に小さな“ワクワクの炎”が灯りました。

病室で考えたのは、スポーツトレーナーになること。
怪我に苦しむ人、動けなくなった人に、僕と同じような再起の道を届けたい。そう思いました。

退院の日。僕は迷わず部隊長室に行き、こう伝えました。

「自衛隊を辞めて、スポーツトレーナーになります!」

あの日の決断が、僕の人生を大きく変えました。

「ドローイン」との出会いが、人生を変えた

トレーナーとしての勉強を始める中で、僕は一冊の本に出会います。

そして、選手時代に昔ながらの腹筋をやっていた僕が衝撃を受けたシンプルな動作が「ドローイン」でした。

ドローインとは、「お腹を凹ませる」ことで体幹のインナーマッスルを鍛えるシンプルな体操です。特に腹部の深層にある「腹横筋(ふくおうきん)」という筋肉を意識的に動かすことで、姿勢の改善、腰痛予防、内臓の安定、代謝アップなど、多くの健康効果が期待できます。やり方は簡単。背筋を伸ばして鼻から息を吸い、口からゆっくり息を吐きながら、お腹をぺたんこに凹ませていきます。その状態を5〜10秒キープし、また戻す。これを1日3セットほど行うだけでも、徐々に体幹の安定感や呼吸の深さが変わっていきます。地味な動きに見えますが、体の内側にしっかり効くのがドローインの特長。道具も場所も必要ないので、忙しい人でもスキマ時間に実践できます。まさに「続けられる最強の体幹トレーニング」です

“お腹を凹ませてインナーマッスルを鍛える”――シンプルだけど、本質的。

ドローインをすぐに自分の身体で試し、研究し、改良を加えました。
それまでうまく働かなかった体幹の感覚が、目覚めていくのを感じました。

自分の体で実証したこの感覚を、もっと多くの人に届けたい。

そう思ったのが、次の挑戦への第一歩でした。

整骨院や整形外科病院のリハビリ室でもキャリアを積んでいたのですが、2005年にスポーツトレーナーとして独立し、2006年には、フィットネスの業界でドローインを指導するようになりました。当時は、リハビリなど医療機関では、一部のドクターやセラピストの中では、ドローインという言葉は、浸透していたかもしれませんが、一般にはまだまだ伝わっていなかったように思います。

当時としては、いち早く、フィットネスクラブや地域の公共施設で、健康体操としてドローインを伝えていきました。

そして誕生した「あへあほ体操」|声を出して、体幹を鍛える

「ドローインは効果がある。」 「しもの先生の教室に行くと元気になる」
そんな声がたくさん言って頂けるようになった、ある日。

生徒さんに言われました。

「しもの先生の体操はわかりやすいし。効果出ています」

「ただ…」

「家に帰ったら忘れてしまうの。」

「運動って、インパクトが必要だと思うの」

そんな生徒さんからの一言から生まれたのが、
“声を出してお腹を凹ませる”という全く新しい体操、
あへあほ体操です。

2007年5月の出来事でした。

あへあほ体操のやり方


• 「あーへーあーほー」と声を出す
• 「へ」と「ほ」の時にお腹をギュッと凹ませる
• 顔の力を抜いて、少しニヤけるくらいがベスト!

お腹の奥のコルセットのような筋肉である腹横筋(ふくおうきん)が働く

腹横筋が働くとどうなる?
• 姿勢が整い、腰痛予防に
• 内臓の位置が安定し、代謝が上がる
• 呼吸が深くなり、自律神経が整う
• お腹まわりが引き締まる

声を出すことで横隔膜(おうかくまく)も動き、呼吸と体幹を同時に鍛える。


さらに、笑いのようなリズムが脳と心に良い影響を与えてくれます。

ドローインとは?〜お腹を凹ませるだけのすごい力

「ドローイン」とは、呼吸と連動しながらお腹を凹ませ、腹横筋(インナーマッスル)を活性化するトレーニングです。

一見地味な動きですが、身体の内側からパフォーマンスが変わるのがドローインの本質です。

誰でもできる!ドローインの基本のやり方

● ドローインの基本ステップ

  1. 背筋を伸ばして座る(立っても寝てもOK)
  2. 鼻からゆっくり息を吸う
  3. 口から息を吐きながら、お腹をぺたんこに凹ませる
  4. 凹ませたまま5〜10秒キープ(呼吸は止めない)
  5. ゆっくり戻す

これを1日3セット。慣れてきたら日常生活の中にも取り入れてみましょう。

科学的にも証明されたあへあほ体操

22024年、日本予防理学療法学会にて以下の演題で発表しました。

演題:『あへあほ体操が体幹筋群および呼吸機能に及ぼす即時的効果』

腹横筋にアプローチするエクササイズとして、
“あへあほ体操”は、楽しく・効果的に・継続しやすいという点で評価されていますが、
それだけではなく、科学的裏づけがある運動療法としても実証が進んでいます。

その大きな一歩が、2024年の日本予防理学療法学会での学術発表でした。

この発表では、体幹深部筋(腹横筋を含む)と呼吸機能の即時的な変化について、
臨床的な視点から検証した結果を報告しました。

研究の背景

従来の腹横筋トレーニングは、ドローインやブレースといった静的な方法が主流でしたが、
高齢者や運動初心者にとっては「分かりづらい」「続けにくい」という声も多くありました。

そこで私は、「発声を組み合わせることで、より自然に腹横筋が活性化するのでは?」という仮説のもと、18年前からフィットネスや介護・医療・福祉分野の現場でも活用されてきた「あへあほ体操」の即時的効果を博士らと検証することにしました。

第11回 日本予防理学療法学会学術大会 セッションID: O – 29

「あへあほ®体操」が体幹筋群の筋機能および呼吸機能に及ぼす即時的効果 より引用

*霜野 昌博大野 大地黒澤 祝片岡 義明

抄録

【はじめに、目的】

超高齢社会の訪れとともに,健康寿命を延伸することが求められる.健康寿命の延伸を目的とした取り組みの中で,呼気中に発声を繰り返しながらお腹を凹ませる運動である「あへあほ®体操 」を開発し,介護予防や健康増進活動を行っている.本体操は,高齢者でも習得しやすく,大人数でも取り組むことができ,ポジティブな気分の変化が得られることが利点である.しかし,「あへあほ®体操」が,加齢に伴い低下する体幹筋群の筋機能や呼吸機能に及ぼす効果は明らかになっていない.そのため,「あへあほ®体操」が体幹筋群の筋活動や呼吸機能に及ぼす即時効果を検討し,高齢者の健康寿命延伸に向けた根拠を提供することを目的とした.

【方法】

健常成人13名 (年齢30.0±14.4歳)を対象とした.対象者には,運動介入として10秒間「へ」・「ほ」と言いながらお腹を凹ませる「あヘあほ®体操」を10回3セット実施した.運動介入前後に,スパイロメータを用いて最大呼気時の努力性肺活量 (FVC),1秒量および1秒率を算出し,呼吸機能を評価した.同時に,最大呼気時の内腹斜筋-腹横筋,腹直筋および外腹斜筋 の筋活動量を表面筋電計にて計測した.筋活動量は最大等尺性収縮時筋活動により標準化した.さらに,運動介入前後の腹囲周囲径も測定した.統計学的解析として,運動介入前後での体幹筋群の筋活動量,呼吸機能および腹囲周囲径の比較に対応のあるt検定を用いた.有意水準は5%とした.

【結果】

運動介入前と比較して,運動介入後では内腹斜筋-腹横筋 (p=0.014)および外腹斜筋 (p=0.023)の筋活動量が有意に増加した.一方,腹直筋の筋活動量に有意差は認められなかった (p=0.479).呼吸機能に関して,運動介入後にはFVC (p=0.034)が有意に増加したが,1秒量 (p=0.374)および1秒率 (p=0.106)に有意差は認められなかった.さらに,運動介入後には腹囲周囲径は有意に減少した (p=0.003).

【考察】

体幹深層筋である内腹斜筋-腹横筋の筋活動量が即時的に増加し,「あヘあほ®体操」は通常の腹部引き込み運動と同様の傾向を示した.さらに,「あヘあほ®体操」は発声を伴う運動であるため,呼吸機能を示すFVCが有意に増加した.

【考察・結論】

高齢者でも習得しやすい「あヘあほ®体操」は,体幹筋群の筋機能や呼吸機能に対して即時的効果を示し,介護予防や健康増進に大きく貢献することが示唆された.

【倫理的配慮】

本研究は日本理学療法学会連合倫理審査委員会の承認 (承認番号:R05-007)を得たうえで,被験者に対して十分に説明した後に書面で同意を得た.

【6】腹横筋が変われば、人生が変わる

つまり、あへあほ体操は、ドローインと同等以上の即時的な効果があることが、科学的に証明されたのです。

忙しい人こそ「ドローイン」さらに「あへあほ体操」

家事をしながら。仕事をしながら。通学、通勤しながら。お風呂につかりながら。

パソコン見ながら、スマホ見ながら。

「今すぐに、お腹を凹ませる。」

今、この記事を今、まさによんでいる、あなた!

「あーへーあーほー」と声を出してみてください。「へ」と「ほ」でお腹を凹ませて。
思わず笑ってしまうほど、身体も心も軽くなりますよ。

最後に|お腹を凹ませるだけで、人生は変わる

腰痛で2度入院。選手の道を絶たれた僕が、もう一度立ち上がれた理由。
それは、「お腹を凹ませる」ことから、もう一度自分の体と心に向き合ったからでした。

体と向き合うことは、心と向き合うこと。
その先にある“人生の再起”を、僕は体操という形で届けたい。

今日からぜひ、「お腹を凹ませる一歩」を踏み出してください。
あなたの身体が目覚め、心がまたワクワクを取り戻すことを願っています。

(あへあほ体操なら、なお嬉しい)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

しもの まさひろ しもの まさひろ あへあほ体操創始者/延べ5万人以上を指導した体幹トレーナー

18年間にわたり「あへあほ体操」教室を継続し、延べ56,000人以上に直接指導。全国で45名の認定インストラクターを育成し、ZoomやYouTubeなどのオンライン指導、テレビ・ラジオでのレギュラー出演(各2年間)、累計1万部超の書籍出版など、多方面で活躍。
2024年には日本予防理学療法学会にて「あへあほ体操」の効果を発表し、医療・福祉分野への科学的展開を推進。
2025年3月には高齢者デイサービス・障がい者グループホーム・訪問治療院を運営する会社の取締役に就任。現在は国際論文の投稿と、2026年アメリカでの学会発表を予定し、あへあほ体操の世界標準化を視野に活動を広げている

目次