「福祉っぽさ」なんていらない!心が動く現場が、笑顔とつながりを生み出す理由

「介護や福祉って、大変そう」
「必要なのはわかるけど、なんだか閉鎖的で、感情が置き去りにされているような気がする」

旧来の「きつい・汚い・危険」という3K…。 そんなイメージを持っている人は、きっと少なくありません。
でも──もし、笑い声が響き、利用者も職員も心から笑顔になれる“福祉の現場”があったらどうでしょうか?

本記事では、私が出会った高齢者・障がい者のリアルな声、そして18年間、“あへあほ体操”の実践を通して、
「福祉っぽさなんて、もういらない!」という確信にたどり着いた理由をお伝えします。

介護・医療・福祉の領域に本格参入した“あへあほ体操”

「きつい・汚い・危険」という3Kから、
感謝を分かち合える・感動できる・心がつながる」の新3K実現へ。

今こそ、“心が動くケア”の時代を始めましょう。

目次

「介護って、大変そうですね」──繰り返される固定観念

「介護の仕事って大変そうですね」
「福祉の現場って、ちょっと閉鎖的なイメージがありますよね」

これは、私が何度も耳にしてきた言葉です。
きっと悪気があるわけではないでしょう。でも、この言葉を聞くたびに、胸の奥がチクっと痛むのです。

実は、私の母親は、寝たきりの方の入浴介助の仕事を21年間していました。入浴介助とは、身体を自力で動かせない、または立位保持や移動が難しい方に対して、安全・清潔・快適に入浴してもらう支援のことです。とても体力がいるし、転倒させないようにあらゆる気配りが必要な職種です。

母親は、まだ幼かった私に、よく利用者の方との楽しい会話をよく話をしてくれていました。

「〇〇さんは、昔、軍隊の指揮官されていたんだよ、体は動かないけど、軍隊にいたから、礼儀正しくて、声も大きい」

など、楽しそうに利用者様の話をしていました。

年に一回、余興があったらしく、ドリフターズの「いい湯だな~♪いい湯だな~♪」を歌いながら一緒に練習した記憶が残っています。

もちろん、幼いながらにも大変なお仕事だということには気づいていましたが、私の中で介護・福祉の世界は、どこかキラキラと輝いて見えていました。

介護や福祉の現場には、もっと人間らしくて、あたたかくて、希望に満ちた瞬間がたくさんあると思うのです。
笑って、つながって、支え合って──人生の最期まで「人として」関わりきる。
それが、私が信じる福祉の原点です。

“福祉=暗くてつらい”というイメージは、どこから来たのか?

“福祉”という言葉に、なぜここまで重たくて暗いイメージがついてしまったのでしょうか。

戦後の日本では、福祉は「公的支援」や「お世話される側」としての側面が強調され、
制度の中に閉じ込められた感覚で語られてきました。

高度経済成長のなかで、元気に働ける人こそが社会の主役とされ、
高齢者や障がい者は“支援される側”として静かに扱われてきた歴史があります。

その延長線上にあるのが、
• “かわいそうだから助ける”という上から目線の支援
• “とにかく安全に、ミスなく、効率的に”という無機質なケア
• “利用者”と“職員”の間に横たわる距離と緊張感

こうした関係性がつくる「空気」が、福祉現場の印象を固定化してしまったのかもしれません。

高齢者の孤独が深まる瞬間⸻社会との“つながり“が消えるとき

ある女性の声:「時間がただ、過ぎていくのが怖い」

忘れられない出来事があります。
ある日、80代の女性からこんな言葉をかけられました。

「毎日が嫌なの。時間だけが過ぎていく…」

その方は老人ホームにお住まいで、旦那様はすでに他界。
静かな個室で、一人で生活をされています。

朝起きて、なんとなくテレビをつけて、
ぼーっとしていたら朝食が運ばれてくる。
一人で黙々と食べる──その後、またテレビを見ながら時間を潰す。
でも、最近は目も疲れて、テレビすらつけていられなくなってきた。

夕方、テレビを消した後の時間が、一番つらいと話してくれました。

「何もない時間が、怖いのよ」
「ただ座っているしかなくて、腰や膝が痛いし、動くのも億劫」
「歩くと息が切れるし、社会とのつながりも、ほとんど感じられない…」

そんな日々を、ぽつりぽつりと、でも丁寧に語ってくれました。

曜日が“命綱”になるほどの孤独

別の高齢者の方から、こんな言葉も聞いたことがあります。

「曜日を忘れると不安になるの。曜日だけが、私と社会とのつながりだから。」

これが、いまの日本の“高齢者の現実”です。

テクノロジーが進化して、SNSやZoomで世界中とつながれる時代なのに、
日々を孤独に過ごしている人が、すぐ近くにいる。

家の中で、「さみしいよー」って、声にならない声をあげている人が、想像以上にたくさんいるんです。

高齢者にとっては、最後のコミュニティ

私が、18年にわたり指導している“あへあほ体操”のメソッドは、病院の認知症予防プログラムとして行われています。

毎週、顔を合わせて一緒に体操をしている80代の女性が言ってくれました。

「ここに来ることが私の生きがいなの、先生がいて、仲間がいる。楽しい」

また、高齢者デイサービスの利用者さんも同じようなことを言ってくれました。

「優しいスタッフの方が体をよくしてくれて、顔なじみの人と会話して、至れり尽くせり。ありがとね。」

高齢者にとっては、最後のコミュニティの場になる可能性が高いと思うのです。

その場を提供できるのが、介護や福祉なのです。

ワクワク感、つながり感、笑顔、喜び、自信、希望、挑戦、感動、感謝、ハピネス

これらを叶えることが、私が信じている“これからの福祉”のかたちです。

文化としての福祉とは?──選択理論の五つの欲求から考える心を満たす支援

これからの福祉は、ただの「支援」や「制度」ではなく、
“文化”としてとらえるべきだと私は考えています。

文化とは、単に「イベント」や「アート」のことではなく、
人が人らしくいられるための“空気”や“在り方”そのものです。

優しくて心地よい空間、笑い声の響きワクワクする時間、
声をかけ合える関係、失敗を責めない土壌、
そして「今日も生きていてよかった」と思える体験。

これらすべてが、文化としての福祉の土台をつくります。

我々の福祉は、五つの基本的欲求に応える場になれる

心理学者ウィリアム・グラッサー博士が提唱した選択理論には、
人間が幸せに生きるために満たしたい「五つの基本的欲求」があります。

  1. 生存(安心・安全・健康)
  2. 愛・所属(つながり・信頼・受容)
  3. 力(達成感・自己有能感・自尊心)
  4. 自由(選択・自己決定・創造)
  5. 楽しみ(笑い・遊び・学び)

この五つの欲求は、どれも「福祉の現場」でこそ満たされるべきものです。
しかし、現実には“生存”以外の欲求が軽視されてしまう場面も少なくありません。

「安全に暮らせれば十分」
「生活できていればそれでいい」

そんな言葉で片づけられがちな福祉の現場に、
「文化」としての豊かさを持ち込むことが、残り四つの欲求を満たす鍵になるのです。

あへあほ体操が育む“文化としての福祉”

たとえば、あへあほ体操というユニークな呼吸・発声・体幹トレーニングも、
ただのエクササイズではありません。
• 声を出して一緒に笑うことは、愛・所属の欲求に応える
• 自分の声や呼吸が体に効いてくる実感は、力の欲求につながる
• 体が元気になることによって、できることが増え、より自由の欲求が叶う
• あへあほ体操は、そもそも「楽しみ」ベースに作ったプログラムで、楽しみの欲求が核心です

もちろん、1つめの生存の欲求は、当たり前に満たします。

つまり、五つの基本的欲求を“体験的に”満たせる文化づくりこそが、真に人を癒す福祉になるのです。

これからの福祉は、「困っている人を助ける場所」から、
「誰もが自分らしく、心豊かに暮らせる場」へと進化していくべきだと思います。

そのために必要なのは、
制度やマニュアルを超越した
人と人との関係性を育む“文化の力”です。

「体験」を変えれば、「関係性」が変わる

私たちが現場で大切にしているのは、体験の質を変えることです。
• 利用者が“される人”から“参加する人”になる
• 職員が“管理者”ではなく“共創者”になる
• 互いの表情が見え、声が響き合う空間をつくる

「やらされる」から「やってみたくなる」へ。
「動かされる」から「自分で動きたくなる」へ。

そんな場づくりが、人と人の関係性を根本から変えていくのです。

正直、まだ到達していないことが多いですが、目指すは、その方向です。

“福祉っぽさ”を脱ぎ捨てる勇気

福祉=管理、福祉=義務、福祉=静か──
そんなイメージを一度脱ぎ捨ててみる。

すると、可能性の扉が開きます。
• 若者が「面白そう」と関心を持つ
• 地域の人が「参加したい」と言ってくる
• 利用者が「ワクワクする」と感じられる

「福祉っぽくない」は、ただの見た目の話じゃありません。
人間の本能に響く、“関係性のデザイン”なんです。

障がい者福祉にも、“福祉っぽさ”を超えるアプローチを

私は現在、障がい者グループホームの運営にも携わっています。
そこでも感じるのは、やはり「福祉=管理される場所」という古いイメージが、業界的には、いまだに根強く残っているということです。

その空気感をアップデートしていきます。


「もっと自分で決めてみたい」
「自分らしく生きたい」
「いつか一人暮らしがしてみたい」
そんな前向きな願いを引き出して、応援していきます!

現実には、こんな思いを抱えている方もいます。
• 「親がいなくなったら、どうやって生きていけばいいのか不安」
• 「掃除や洗濯など、自立に向けた準備をしたい」
• 「やりたいことがわからない。でも、誰かと一緒に探してみたい」

そんな一人ひとりに対して、
私たちは“支援者”というより、“伴走者”でありたい。

「できないことをサポートする」のではなく、
「その人が“自分でやりたいと思える瞬間”を一緒に育てていく」。
それが、私たちのスタンスです。

「依存しない安心」を届けたい

ときどき、親御さんからこんな声を聞きます。

「自分たちにもしものことがあったら、この子を安心して託せる場所が見つからなくて…」

この言葉に、私たちはいつも重みを感じます。
だからこそ私たちは、単なる“施設”ではなく、
「自分の願いを言ってもいい場所」「人生に責任を持ってもいい場所」をつくりたい。

それは、“支援”という言葉だけでは表現できない、
信頼と挑戦のある暮らしです。

自己決定・自己選択はときに怖いことでもあります。
けれど、それを安心して試せる場所こそ、福祉の本質だと思っています。

「福祉っぽくないグループホーム」だからこそ、育つものがある

私たちのグループホームに、カチッとした規則や型はあまりありません。
でも、その代わりに“一人ひとりの願望に応じて選べる自由”があります。
• 決められたスケジュールではなく、自分のペースに合わせた暮らし
• 手伝いすぎない支援。だけど、いつでも助けを求められる関係
• 自分の「やってみたい」を、否定せず一緒に考えてくれる大人の存在

こうした“空気”の中でこそ、
責任感ある選択と行動が生まれ、自立の芽が育っていくのだと思います。

「福祉っぽくない」空間だからこそ、
人が“生きる力”を取り戻していける。

それは、高齢者福祉でも、障がい者福祉でも、
根っこにあるのは同じなのです。

あへあほ体操と、未来への挑戦

私は「あへあほ体操を世界標準にする」というビジョンを掲げて活動しています。

ヨガやピラティス、太極拳のように、
健康だけでなく“生き方そのもの”に影響を与える文化として、
あへあほ体操が世界中に届く日を目指しています。

18年間、寝ても覚めても、このことが頭から離れません。

高齢者も、子どもも、ビジネスパーソンも、障がいのある方も──
あらゆる人が笑って呼吸し、つながる社会へ。

“あーへーあーほー”が、世界の共通語になる未来を、本気で描いています。

社会全体を優しくする福祉へ

超高齢社会・孤独・無関心。たくさんの課題を抱えた今の日本社会。

でも、だからこそ、
「人と人がつながる場づくり」こそが希望だと思うのです。

笑って、動いて、声を出して、共に生きる。
その実感が、社会全体を少しずつ変えていくと信じています。

だから私たちは、これからも伝え続けます。
たとえ笑われても、驚かれても、批判されても──

「なんか、福祉っぽくないですね」
その一言を目指して。

株式会社アクティブスタイルhttps://activestyle.info/

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この記事を書いた人

しもの まさひろ しもの まさひろ あへあほ体操創始者/延べ5万人以上を指導した体幹トレーナー

18年間にわたり「あへあほ体操」教室を継続し、延べ56,000人以上に直接指導。全国で45名の認定インストラクターを育成し、ZoomやYouTubeなどのオンライン指導、テレビ・ラジオでのレギュラー出演(各2年間)、累計1万部超の書籍出版など、多方面で活躍。
2024年には日本予防理学療法学会にて「あへあほ体操」の効果を発表し、医療・福祉分野への科学的展開を推進。
2025年3月には高齢者デイサービス・障がい者グループホーム・訪問治療院を運営する会社の取締役に就任。現在は国際論文の投稿と、2026年アメリカでの学会発表を予定し、あへあほ体操の世界標準化を視野に活動を広げている

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